DSになり損ねてoncallで無事死亡なNon-Techキャリア – 渡米6か月の雑記

プロフィール

Amazon USで働き始めて6か月。半年の節目に上司から時間頂いてパフォーマンスフィードバックがあり、半年間で一つまとまった成果を上げたことを褒めて頂きつつ、昇進に向けた具体的な話もできました。

中々過激なタイトルとなりましたが、全て事実なので恐れるものは何もありません笑 自身の半年間の苦労と迷走を振り返りつつ、Non-TechでのGAFAMキャリアを目指す誰かにご参考頂けることを信じて、私の醜態を駄文で綴ります笑

渡米6か月 思ってたよりも。。。

あれから半年になります。右も左もどころか英語すら聞き取れず、タコマ国際空港のpassport controlでの質疑応答がこなせなかったあの日。。。笑 本当に早いもので、住まいやら物価やら色々な不安要素と日々格闘しつつ、社内・社外の多くの方に支えて頂きここまで来ました。

短かったような、長かったような。渡米前から準備していた計画を着実に進めつつも、渡米前に想像していた「半年後の自分が達しているであろう水準」には達しておらず悶々としており、そしてそれは自分が生き慣れた日本文化の中での日本語を駆使した成功体験がベースになっているからだと思っています。

新しい環境で挑戦者として進んでいることを忘れず、今後もStill Day 1のマインドを肝に銘じてに進み続けたいと思います。

6か月間の苦悩

家族も日本に残したまま、仕事だけに集中できる環境を用意してもらっていたのに、6か月間の成長と実績という点ではちょっと不完全燃焼感があります。もっとやれたはず。そんな思いを抱えながら、半年の節目と言うことで上司に時間を取って頂き、これまでの成果と今後について話し合う時間を作りました。

結論から言うと、上司はこの半年間の私のパフォーマンスには満足してくだったようです。私含め6人いたチームが私1人になったり、スコープは縮めずに私に諸々が集中したりと大変な環境の中、よく頑張ってくれたし期待してた以上に結果が出てる、とのお褒めのお言葉。ずっとビハインドしてたいくつかの重要指標も目標水準を上回るレベルまで回復し、それは私の分析提案から生まれた複数のアクションとその進捗管理がなければ生まれなかった結果と仰って頂けました。

(まーそりゃこんだけ働いたからな笑、しかも上司には進め方とか知識面でのサポートとかあるべき姿も何も提示されず、期待役割だけ伝えられただけだからな笑)と内心思いつつ、「今後のことも考えると、お前の今の役職の上の役職との違いは【自立できているかどうか】、dependencyの程度だ」というコメントを頂きました。

この半年間、上司から何か教わったこと、サポートがあったことがあるかと言えば全くありません笑 ただ、一瞬考えて色々悟りました。それが求められている水準なんだろうな、と。

私が今レポートしている上司はL10(Level 10)昇進目前と言われている方で、一般にAmazonのL10はその部門のトップかその直下です。めちゃくちゃ偉い人です。Amazon創業者・前CEOのジェフベソスや後任の現CEOアンディがL12なので、非常に組織の上層の方の直下で働いているというイメージで間違いないです。

上司は日中のほぼ全ての時間が会議で埋まっており、私とマンツーマンで会話できる時間は1週間に10~15分程度。1:1は一応週次で設定されているものの、諸々の事情でskipになります笑

非常にお忙しい方なので、当然ながら私含む彼の傘下のチームmtgなどはなく、彼の直下のチーム帰属意識は極めて希薄、というよりゼロです笑 そして上司はNon-Techだし、上司から直接統計解析やデータベース管理といった私の職務に関わることを教えて頂いたことは一切なく笑、今振り返ると、それならもっと上司にお願いして適切な相談窓口となってくださる方を沢山紹介頂けば良かったと感じます。

英語も苦労しました。渡米後2か月くらい経つ頃には議論の流れとあるべきネクストステップを理解した上で会議をファシリテートしつつ、一定程度自分の思うようにコントロールできるようになってきたものの、私が属している組織がテックチーム故にそもそも日本語でも分からん技術的なことも多く、そして部門や組織が長い歴史の中で複雑に統廃合を繰り返して情報や権限・役割が意味わからん形に分散・偏在しており誰に何を聴いて良いかも分からことが多く、日本みたいな丁寧に説明してくれているマニュアルもありません。

同じ役割を担っていたチームメートも私以外全員いなくなってしまい、殆ど引継ぎのないまま8人のPMと一緒に12のプロダクト・プログラムを担当することになりました。書いてて笑っちゃいますが、自分でもよく頑張ってきたと思います。

余談ですが、仲良くなって色々誘ってくださる社内の日本人の方が、会議でびっしり埋まった私のカレンダーを見てびっくりしてました笑 1時間に2-3の会議や予定に同時に対応することも増えてきました。その方のカレンダーを拝見すると、1週間に2-3つの予定が入っているのみ。あれで私の倍以上のお給料を貰っているのか。。。と複雑な気持ちにもなります笑

大満足 – USで得たキャリア

不満タラタラな文章になってしまいましたが、こうした苦悩と逆境を抱えつつ、私は今の自分の置かれた状況に非常に満足しています。まさにこういう仕事がしたかったと日々実感します。Big Techで作るNon-Techキャリアにはこんな選択肢もあるということを発信したいと思います。

私はL5のBA(Business Analyst)という役職でAmazon Japanから国際社内異動してきました。お給料は株込みで$140kほどです。新卒のエンジニアのお給料が安くて$200kほどなので、Non-Techの給料がいかに低いか分かります笑 

これは私の個人的な認識ですが、一般にBAはTechのDS(Data Scientist)、BIE(Business Inteligence Engenner)やDE(Data Engineer)よりもビジネスサイドに立ちつつ、Non-TechのPM(Product Manager、Program Manager、Project Manager)よりもDataに強みがあることを求められる点で、TechとNon-Techの両者を繋ぐ「調整能力」のような非常に曖昧な力が求められるように感じます。上記の記事にも書いたように私はData Scientistのオファーも頂いておりましたが、自分の将来のキャリアを踏まえてBAを選びました。今思えばこの選択は絶対に間違ってなかったと確信しています。

一般にBAやData Analyst、AnalystはPMのパートナーにつき、PMの担当スコープをデータで支援することを主任務とします。例えばProductを担当するなら売上・利益といった重要指標やその深堀・改善余地の発見といった大きな話をすることもあれば、特定のセグメントの顧客動線やUIに関するABテスト設計、そしてそれらの可視化やレポート作成などなど。振り返れば過去私が日本で担ってきた役割も、これに準じていたように感じます。

次に、今の私に固有の話をします。上記の一般的な話以上に、私はかなり特殊な位置で色々な役割と責任を負っていると感じます。私は個別のPMと対になるというより、上述の私の上司と対になっています。私の上司は部門全体の重要指標に責任を負っており、直下の8人のPMとその開発を担当するエンジニアの方々だけではなく、社内の別部門の人たちとの調整も担うし、部門の長期目線での戦略に向けた社外市場調査・競合動向も把握する必要があります。これらを全てまとめて調整しつつレポートすることが、今の私に求められている役割です笑

既にビジネスのオペレーションやファイナンスが確立した領域の改善余地の発見・施策実行にとどまらず、短期・中期的な投資計画や組織編制、新規事業立案、プロダクト・プログラムと組織の中長期計画との整合、管理指標の新設・管理など。

そしてこれらをまとめ上げる際には、利害関係者の優先順位とリソースを調整して一つの方向にまとめ上げる管理能力、並びにその交渉や実行フェーズで全体をまとめ上げ認識を合わせるためにデータが必要になるため、部門の上流のデータチームの持つDBやデータ管理状況への理解が求められ、彼らと協業する傍らデータチームの一業務であるoncallまで担うことになりました笑

oncall(緊急対応当番)は、医者が急患に対応するために病院に泊まり込む当直のようなもので、世界中で常時使用されているプロダクトやデータへの異常事態にいち早く対応し、原因究明や原因箇所を担当する部署との連携、解決までの進捗報告などを担当します。

世界を見る役割

さて、これが私1人のスコープです笑 確か6人で担っていたはずが、いつの間にか私1人になっていました笑 土日含めて朝4時出社・夜1時退勤がデフォルトの生活になりました。最もサッカー部出身で毎日朝練と授業終了後の練習で脳みそまでに筋肉として鍛えてきた私はこういう働き方にはあまり苦を感じず笑、週1程度ならちょっとしたランチ会や仕事後の飲み会に参加できる程度には余裕があります。妻子の渡米はもう少し先だし、家に一人いてもダラダラするだけだし、私の中ではこれくらいのワークライフバランスで十分です。

そして何度も強調しますが、私は今の自分の役割に非常に満足しています。まさに私はこれがやりたかった。私は今、世界を手掛けるBig Techが担うビジネスの1ユニットを経営者目線で作り上げる仕事をしています。ビジネスとしての成長に向けて、どこに成長余地を見出し、どこから撤退してどこに進出し、どこにどれだけのお金を使い、他社とどう差別化し、などなど。加えて、こうした戦略を実現するために、個々のプロダクトにどんなタイムラインで何を達成させるべきか。

こうした議論を取りまとめるために、情報収集とその分析、そして複数の選択肢とメリット・デメリット、優先順位とタイムラインをつけてたたき台として経営陣に提示する、これが私の通常業務です。

圧倒的に広いスコープ・裁量に加えて、自分たちのビジネスの強み、そしてそれが歴史的にいかに形成されたか、何がボトルネックになり得るか、今ビジネスを展開する各国でどういった違いがあるか。こういったことを見れるという意味では、どんなに低い給料も、どんなに悪いワークライフバランスも気になりません。私はまさに今、リアルな世界でゲーム『信長の野望』をプレイしてる感覚です笑

「お前は日本人だな」

当然ながら、社内の複数部門間・または一つの部門内の各マネージャー同士で利害が衝突します。時には、既に決まっていたプロダクトのロードマップを数年分書き換えさせたり、不要と判断したオペレーションにかかわる部署を丸っと解散したり。大きく物事が動く世界を見ており、自分自身のレポートや伝え方が、下手すると人のキャリアや人生に関わる緊張感を常に感じながら、日々仕事に打ち込みます。

そんな中、私はこれまでの自分のキャリアの中で、自分が正しいと思う方向に人々を寄せる力を磨いてきました。新卒でコンサルに入り、「雑用」と揶揄されがちなPMOを粛々とこなしていく中で、未来の利害の発生地点やボトルネックを探し、それが全体にとって最善な形に着地するように事前に根回ししつつ進捗やリスク・課題を管理することを覚えた結果、以前の記事にも書きましたが、私は3か月先まで定例会議の議事録を事前に作り、あたかもそれを台本のように使って会議を自分の思惑通りにコントロールするようになっていました。

もちろん思い通りに行かないことも多いものの、人間、準備や想定が事前にできていると、例外対応に脳のリソースの多くを使えるようになるため、迅速に方向修正や問題解決策を打ちつつ本流は既存のストーリー通りに進める、ということができるようになります。

私がこういう動き方をしていることを上司や周りの人が理解してるかは分かりませんが、私が事前に根回しや問題解決の落としどころをキーパーソンに説明・議論している姿を見てる人たちは、「争いを避けるため」に私がそれをやっていると感じているそうで、「和を以て貴しとなす」日本文化を想起させ、ある人からは、その所作を褒めて頂く意味で「お前は日本人だな」というコメントを頂きました。

『PMに道を示す』

中でも、重鎮的な歴10年以上のPMの方々から「お前のおかげで上層部とAlignしやすくなった」と仰って頂けたことはとても嬉しく感じます。経営層たる方々の意志や意図を明確に言語化しつつそれを概念として整理し、数値管理できるように新しい指標に作って各プロダクト・プログラムに配分することで、PMの皆々様は「ああ、これが求められているのね」という理解が早まったと仰ってくださっています。

加えて私は各PMと話しつつ分析する過程で、プロダクト・プログラムが抱える上層部の求める指標に影響し得る課題や次に直面しそうなボトルネックをデータを以て把握できており、分析を通じて彼らに示唆や取るべきアクションを伝えられるようになってきました。おそらくこれが今の私のバリューだと感じます。過去私以外のチームメンバーがいた頃は、上からの意図があまり明確に伝わってこなかったし、それを実現するためにPM側で何をすべきかをアドバイスくれる人がいなかったため、PMが何をすべきか非常に悩んだし、各PMが個別にそれぞれで考えて実行してたから、統一感もないし先に進んでる感も希薄だったようです。

私がその領域で各PMを繋ぐ一貫した目線や示唆提供を行っていたことで、PMの皆様が「動きやすくなった」「道を示してくれているように感じる」とコメントくださったのは嬉しい限りです。

dependency:自立性 – もっと自分で考えろ

上記のように、上司は私のこれまでの実績に満足してくださっていた一方で、昇進を見据えた次の段階として「dependency」を挙げていらっしゃいました。もっと自立しろ。これはおそらく「人の顔を伺うことなく、もっと自分のあるべきと思う世界を突き詰めろ」だと思います。

BAは分析して提案する仕事であり、そしてそこに込めた選択肢に対して私なりに考えた優先順位を添えて提示するものの、「あとはあなた方に決めてもらう感」が残っていると仰ったんだと解釈しました。実際に上司に訊き返して確認すると、「そうだ」と一言残して次の会議に行っちゃったので笑、そういうことだと思います笑

私の思うあるべき姿、「ビジネスの未来をもっと突きつけろ」というのは、「現状の市場がこうだから・現状と目標とのギャップがこうだから」という言い方ではなく、「そもそも未来の市場はこうあるべき」「我々の目標はこうあるべき」という私自身のビジネスに対する強い信念を出せ、もっと自分の意思を示せという意味でしょう。

例えばAmazonは、マーケットプレイス、物流、AWSといった主軸となるビジネスを持っていますが、先日の決算発表でも指摘されてたように、客数の頭打ち感をどう打破するかはずっと抱え続ける悩みになるでしょう。これはおそらくAmazonに限らず他のBig Techも同じ悩みを抱えると思いますが、Bigになったが故に次に取るべきアクションへの足かせが大きくなることへの悩みです。

アマゾン、「プライム」米会員数が過去最高更新-前年比8%増

アマゾン・ドット・コムの会員サービス「プライム」の米利用者が3月に前年同月比8%増の1億8000万人と、過去最高を更新した。2014年からアマゾン会員を調査しているコンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズが明らかにした。

  ウォルマートに加え「TikTok(ティックトック)ショップ」や「SHEIN(シーイン)」、「Temu(ティームー)」といった中国関連の通販サービスとの間でネット上の競争が激化しているが、さまざまな商品を迅速な配達するというアマゾンの触れ込みが、インフレへの対応を迫られている消費者にとって引き続き魅力的に映っていることが示された。

  プライムの米会員費は年額140ドル(約2万2000円)または月額15ドル。サービスには配送料値引きや広告付き動画配信サービス「プライム・ビデオ」が含まれる。

  今回の調査はプライムを利用できる人が対象。これはアマゾンが販売する実際の会員数より多い。プライムのサービスは世帯メンバーで共有されることが多い。

  アマゾンにコメントを求めたが、今のところ返答はない。

出典:Bloomberg

一例として、Amazon会員からAmazon Prime会員になって頂くことが客単価が伸びますが、では成長の余地は客数(Amazon会員数)か、それとも客単価(Prime会員数)か。どう実現するかも含め、このビジネスで稼ぐなら両指標を目標値と施策を以て管理する必要がありますが、そもそも数年後、マーケットプレイスは人々の生活に何を提供できる存在になっているか、社会はどう変化しているかというビジョンを示せ、こういったレベルから提案せよというのが上司からのリクエストでしょう。そのビジョンが仮に実現できていたら、客数と客単価はどうなっているか、という、客数・客単価の前段となるビジョンの議論が望まれているように思います。

(余談1)AmazonをAmazonたらしめているもの

突然ですが、この記事を読んでくださっている多くの方が、Amazonの何等かのサービスを使ってくださっている、または使った経験があるかと思います。Amazonが提供するサービスは、皆様の生活にどんな価値を提供しているでしょうか。また、顧客にとってAmazonの価値は他社とどう異なり、何に優れ、そしてその優位性はいかにして構築されたのでしょうか。

こういうことを日々考えるのが、私の仕事の最初のステップと感じています。

出典:Bloomberg 中国通販Temu、アメリカの定期利用者数でイーベイを上回る

例えばAmazonはマーケットプレイス、「売り場」を担う会社です。近年、中国のTemuやSHEINなど中国系スタートアップを筆頭に様々なサービスが台頭し、インプレッションや売上高をベースに「Amazonはシェアを奪われている」といった論調や評論が見られます。

出典:日経新聞 SHEINなど中国系EC、世界を席巻 日本は国内勢が健闘

ユーザー目線で見て、Amazonで買う価値は何でしょうか。安い、ポイントが付く、輸送の早さ・安心感、信頼できるレビュー、分かりやすい商品ページのフォーマット。これらに加えて、Prime会員のお得感など、売り場としてのサービス以外のところでAmazonを使うメリットを感じてくださる方もいらっしゃると思います。

こうした顧客の感じる優位性は数値にどう反映され、他社とどう差別化されており、そしてその優位性はどのような社内・社外環境の中で作られてきたか。社内データを掘り起こして整理する過程で、なんだか歴史を編纂しているかのような愉悦に浸ることができます笑

別の話題になりますが、例えばAmazonはBig TechであるGAFAMの一つでクラウド領域に強みを持ちます。

出典:Seizo Trend – AWSが明かす「生成AI導入」リアルな課題 世界的企業の顧客たちに「最も聞かれる質問」

非エンジニア層にも分かりやすい話題としては、Microsoftの生成AI活用と既存製品への適用でシェアを大いに伸ばしているとの報じ方もありますが、そもそもこのAWSの強みはどんなところに感じられるでしょうか。安全性、スケーラビリティ、価格、機能の多さ、他社製品との互換性。シェアが高くどの会社や現場でも使っているからという話もありますかね。

出典:デジタルクロス 米国勢GAFAと中国勢BATが繰り広げるデジタルの覇権争い(前編)【第12回】

「クラウド」とは一つのソリューションであり、それらを使ってどんな業界やサービスを作っていくか、という視点でも語られるべきですが、この業界やサービスの括り方は職人芸で、多くのインプットと世界情勢への理解、まとめる力が求められます。

こうしたマッピングを通じて、自分たちの現状や他社との競合・差別化状況を可視化・言語化していく過程で、次に自分たちが提供すべき価値が徐々に形になっていくものです。

(余談2)TMTの未来

このブログのURLにも使っている「ReMoCo」とは、「Recommend、Motivate、Connect」の略で、前職コンサルにてTMT業界の10年後を想像・議論する社内イベントで社会人2年目の私が提案した単語でした。

TMTは「Technology、Media、Telecom」業界を指す言葉で、コンサル業界などで担当する組織を示す際に使われます。

出典:PRTIMES bitFlyer Blockchain コンサルティングサービス提供開始のお知らせ

どこのコンサルもこの図のような業界×サービス みたいな図を使うのですが、この図は古いよねっていう話から議論が始まります。そもそもなぜこうした図で「テクノロジー、メディア、テレコム」という過去異なるとされていた3つの業界が一つに束ねられたかと言えば、2010年前後から始まるIT技術革新により、業界の垣根がなくなり始めていることです。

この技術革新を最初にモロに食らったのがFS(Financial Service)、金融業界。いわゆる「FinTech」の流れでクラウドやAPIが一気に拡大し、銀行業務・証券業務・保険業務といったこの業界の職務が、異業種でも(法的ではなく)技術的にできるようになったことがきっかけです。当時Facebookの友達リストで与信評価を行うサービスとか見て震えました。。。笑 誰が友達になっているかで、その人の借金返済能力が測れるという発想自体驚きです。

また、昨今では銀行ではないPayPayが、過去銀行の一業務だった決済機能を有します。日本でQRコード決済も普及し、各社のポイントサービスがそのまま代金支払いに使える点で、ポイントはある種の通貨発行権のようにも振る舞い、2000年代やそれ以前の業界の垣根が失われつつあります。

技術革新により既存の業界の垣根が失われる、その波が金融業界の次に到達するのがTMT業界と言われていました。これらの業界は技術革新を支えるハード・ソフト・インフラ、及びそれらを流れるコンテンツを扱っており、やり方次第ではこの3業界に属する企業が他の全ての業界を飲み込むのではないかという話もしていました。

仮に業界の垣根が失われたら、コンサルの上図の業界×サービス図も失われます。TMTはその再編の試金石なんだから、私達の業界の10年後を本気で議論しようよ、みたいな軽いイベントだったと思いますが、私は自分なりに考え縦軸に「サーバー」「OS」「端末」「ブラウザ」「アプリ」「顧客情報」を並べ、横軸に行動経済学のどっかのチームがまとめていた「人が不快を感じない・快と感じる体験」を7つ並べたマトリクス図を作り、TMTはそのうちの3つ「Recommend、Motivate、Connect」を担う企業や業界になっているはずだという考え方を提示しました。

社内イベント故に順位がついたり賞金がもらえたりするわけではなかったものの、私はあの時、市場をデザインするという視点を学んだと思います。世の中の変化に合わせて民間企業が提供するサービスはどう変化し得るか、それに合わせて企業はどう戦略を作るべきかを検討・提案・実行支援する。そんな壮大なイメージを持ち続けています。

この「市場をデザインする」視点こそ、上司が欲したもの、私が考えるあるべきと思う世界と解釈してます。

自分のキャリアビジョンとの調整

大学で医療介護や公的年金といった社会保障制度を専攻した後、民間企業で国家を代替し得る地域完結型医療介護制度を作る、これを実現するためにAmazon USまでやってきた私ですが、残念ながらまだHealthcare業界ではなく別の業界で働いており、とはいえ今のチームで体験できる全てを活用して自分の能力・知見・ビジョンを高めたいという強い意志は持ち続けています。レイオフにさえならなければ。。。

思えば日本で働いていた頃、もっと大きなことがしたい、もっと上流のデータにアクセスして全体を俯瞰したい、もっとビジネスの上流で仕事をしたいと思うことが多く、1リージョンでしかない日本ではなく、世界全体規模でのビジネスを設計する今の仕事に就けたことを本当に嬉しく思っています。お給料高くてワークライフバランスに優れるエンジニアやTechばかり持てはやされがちですが、Non-Techでもこんなに面白い仕事ができることを強く発信したい!

出典:youtube 「年収稼げるのは?」就職後10年で明らかな格差。果たして高年収は文系卒?理系卒?【ドワンゴ川上vs東大教授・隠岐さや香】

Tech企業と言えど、会計や経営、ビジネスを専攻した文系人材が働く場としても十分に面白く、特に個人的には、コンサルに入って一企業を超えた業界や業種にインパクトを与える大きな仕事をしたい、という曖昧で漠然とした夢を抱いていたこともあり、こうした仕事にたどり着いたことは嬉しく、非常にやりがいを感じます。結局はTech領域への理解も求められるので笑、目指している方は今のうちから勉強しておくと良いかもしれません。

偉そうなことを言ってますが、その後生き残れるかどうかは。。。私の意志と体力次第だと思います。。。そして何より会社事情、容赦ないレイオフに怯えながら。。。私も死なない程度に日々精進。

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