Amazon USで働き始めて8カ月。離れて生活していた妻子がついにあと数日で日本からアメリカに来てくれます。家族との再会を心から楽しみにしている一方で、今のうちにしかできないと思った今年の目標AWS資格全冠をレポートしつつ、今後の子育てを念頭においた能力開発における私見も述べます。
渡米8カ月 妻子の渡米
前回の記事投稿から1カ月。ついに妻子がアメリカに来ます。どれほど心待ちにしていたことか。妻には大変な思いをさせたと思うし、子供たちにも沢山寂しい思いをさせたと思うので、なるべくアメリカでの生活にスムーズに移行できるように準備をしてきました。
この一か月間は主に受け入れ準備でした。車を買ったり、妻と見学に行く保育園をリスト化したり、妻の渡米後大変セット(SSN、クレカあたり)の手続きを先んじて準備したり、子供たちの離乳食や幼児食の献立を練習したり。渡米時には妻の実家から観光も兼ねて義両親も一緒に来てくださるため、その旅行プランに向けた各種リサーチやら予約やら。
AWS認定全冠RTA
これまでの記事でも書いてきたように仕事が忙しく、ここ数カ月は朝5時出勤・深夜1時退社の生活を送ってきた中で、徐々に仕組み化・自動化して自分の工数を削り、捻出した時間で一時帰宅して家族の受け入れ準備に充てる中、渡米前に作った渡米後1年間の目標を見返すと「AWS全冠」に全く着手できていなかったことにある種の罪悪感を感じました。
振り返れば仕事で結果を出すのに全集中してきたこともあり、落ち着いて自己研磨に励む時間がありませんでした。家族が来たら、更にそんな時間はないはず。。。今しかない。そう思い立ったのは2024年9月27日。
家族が来るまでに12の全てのAWS資格に合格しなければ。しかし私はNon-Techだし勉強もしてこなかったし。。。頭の中を色々な言い訳がよぎりましたが、こういうことは勢いで終わらせることが大事!Just do it!と自分を奮い立たせ、A3の紙に覚悟を印刷して毎朝・毎晩3回復唱するという儀式を以て自分を鼓舞しました笑
ということで始まりました、AWS認定全冠RTA(リアルタイムアタック)。余談ですが私はゲームのRTA動画本当に大好きで、バイオハザードシリーズのRTAなんてほぼF1レースみたいなラインどりみたいなもんですし笑、1996年にスーファミから発売されたFF6には学会(?)が存在するほど、未だにワープやバグを使った時間短縮に向けた世界中のファン(というより職人)の方々から学ばせて頂いた次第です。MGS(メタルギアソリッド)シリーズでは必死に儀式の人のマネしたものです笑 アーマードコアシリーズRTAは特に3と3SLで命を削って精進しました。
前提:私のAWS理解度
ほぼ皆無です。テックのバックグラウンドはほぼありません。社会人になってITパスポートから始めた部類の人種です。日本にいる間に基本・応用技術者とITストラテジストやJDLAのE資格は取得しましたが、体系的な開発経験はほぼありません。
日本で年に数回行われるAWSのイベント等で、各社が紹介するソリューションやそれを実現するために使う機能ぐらいは見たことがあり、S3やAuroraっていう名前は知ってます、程度でした笑
Amazon USでは自分が関係するプロダクトやDBの範疇でオンコール当番もこなしていたため、ある程度の理解はありましたが、初回オンコールでRDSをRedshitのことだと勘違いしており無知が露呈するハプニングもありました。。。笑 恥ずかしかった。。。
その程度の理解度したが、でもそんなの関係ねえ!覚悟を決めて計画を立て着手していきました。
計画と実行プラン
なんといっても時間がないので、勉強開始初日に試験日程を全て予約しました笑 12の試験の難易度やどの順番で受けるべきかは、先人の記事を拝見しながら決めつつ、とにかく勉強しなければいけないので、毎日必ず2時間以上、睡眠時間を削ってでも必ず勉強することにしました。
試験日程はこんな感じにしました。
2024/09/27:勉強(覚悟)開始
2024/10/31 : CLF-C02(クラウドプラクティショナー)
2024/11/01 : AIF-C01(AIプラクティショナー)
2024/11/03 :SAA-C03(ソリューションアーキテクト アソシエイト)
2024/11/04 :DEA-C01(データエンジニア アソシエイト)
2024/11/05 :MLA-C01(マシーンラーニングエンジニア アソシエイト)
2024/11/06 :DVA-C02(ディベロッパー アソシエイト)
2024/11/07 :SOA-C02(シスアド アソシエイト)
2024/11/14 :SAP-C02(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)
2024/11/16 :DOP-C02(デブオプス プロフェッショナル)
2024/11/18 :MLS-C01(マシーンラーニング スペシャリティ)
2024/11/21 :SCS-C02(セキュリティ スペシャリティ)
2024/11/23 :ANS-C01(ネットワーキング スペシャリティ)
まずは基礎レベル2つとアソシエイトレベル5つで全体感を体系化しつつ、DE(データエンジニアリング)やML(機械学習)らへんは既知の範囲が多そうだったので少し勉強すりゃなんとかなんだろくらいに考え、早急に試験日程を埋めました。
AWS認定試験の試験時間は1回2時間半-3時間ほど。さすがにそんなに時間をかけていられないので、自分が昔センター試験を受けていた時のスピード感を基準に、30分で1周終わらせて、自信ない問題に戻って考えるペースを目標に練度を高めます。
特に私はセンター試験社会を1時間のうちに10科目解き切ることに命を懸けていた人で笑、日本史A/B、世界史A/B、地理A/B、倫理、政経、倫理・政経、現代社会の10科目を1時間で解きます。各科目36‐40問ほどあるため、3600秒 / (10科目 × 40問) = 9秒 ということで、1問9秒以内に解ければ終わります。実は結構余裕があります。本番は事前に科目を選択するものの、センター模試では選択科目を当日選んで良い形式だったので、私は社会1科目目の60分で全科目解いて一番自信ある2科目を選択・提出してました笑
1問9秒目安で解きつつ、そして満点勝負のセンターと違ってAWS認定は正解率70-80%程度で合格なので、全体感を理解して出題傾向さえ分かれば攻略できます。1科目あたり過去問を5回分くらい解いて全部丸暗記すれば合格できると踏んで、ひたすら解いて丸暗記しつつ脳内で体系化する戦略で臨みました。
全冠達成 記録:58日
結果としてこの戦略でなんとかなりました。計画通り全て一発合格、58日間で全冠しました。最大の難所は何といっても最後のANS。公式・非公式含めて無料配布・販売されている問題数が他の資格に比べて圧倒的に少なく、難易度的には実務経験がない私には想像しにくい操作も多く、記憶より理解に多くの時間を要しました。
ちなみに58日という私の記録は決して早いタイムではなく、参考にさせて頂いた下記の方は2021年当時の11種類を1カ月半で完走されてます。お子様もいらっしゃるとのこと。。。まさに超人。。。
出典:【最速】既婚子持ち社会人のクラウド初心者でも、1ヶ月半でAWS資格11冠制覇できる方法
いやーしかし、知らないことだらけでしたが本当に世界が広がりました。こんなに多くのキャリアパスが見えてくるなんて。。。なんにでもなれそうです。イーブイくらい進化の選択肢あるじゃん笑
それ、意味あるの?
さて、こういう「短期間で合格!」みたいな話すると、「そんな付け焼刃の知識、何も役に立たない」的なネガティブなご意見頂きますが、私の結論は「意味ある」です。意義もね。大義ですらある。笑
出典:呪術廻戦
弁護士や会計士と違って独占業務のない資格の場合、私は資格試験を「守破離の守」に位置付けており、先人たちの体系化をいち早く理解して実務でバリューを出すための教材であり、また自分の達成度とペースを管理するための指標だと思ってます。
実際資格を取ってみると、関連するプロダクトやバックエンドのSDE(ソフトウェアエンジニア)やDE(データエンジニア)の言っていることの理解度・解像度が200%くらいあがりました。現状の体系がなぜこうなっているのか、他にどんな選択肢があったのか、そのプロコンまでエンジニア目線で理解でき、また、生じた障害の原因分析を下に上層部やPMが理解できていなかったリスクや拾えていなかったボールを私がキャッチし、ビジネスに貢献できたこともありました。直近1週間のうちに2回も。
意味はあります。要は自身の理解を体系化し、関係する人たちとの共通理解を増やしつつ、全体戦略の整合から解像度の高く実現可能性の高い改善案や新規案を提案・実行する。これを実現するために非常に有意義でした。他の人にも心から是非オススメしたい。
ちなみに弊社社員だとAWSのSA(ソリューションアーキテクト)の方なら無料で受検できると伺いましたが、それ以外の社員でも会社に申請すれば半額で受けられます(都度チケット切るのでちょっと面倒ですが。。。)。詳細知りたい方は是非ご連絡ください。
勉強は変わった – 生成AIの活用
出典:メタルギアソリッド4
さて、ここまでは前置きで、私がこの記事で述べたいのは「勉強は変わった」です。私は今でも初めてメタルギアソリッド4をプレイした衝撃を覚えていますが、「戦争は変わった」のごとく、昨今の教材やツールで勉強方法も本当に激変したと感じました。
なんといっても生成AIです。彼らは私が分からないことを全て丁寧に教えてくれるため、限られた時間の中での試行整理や記憶の定着に非常に貢献してくれたと感じます。実際今回の取り組みでは、問題解いて分からなかった問題を全て読み込ませ、それを体系的に理解する上で自分に足りていない「幹」となる頭の整理は何かを適切に教えてくれました。
ひとたび「幹」ができれば、あとはその枝葉に情報をまとめていくようなものなので、「体系」にキャッチアップする時間が短いほど、私にとっては非常に有利に進められました。その理解においては、生成AIは最強のツールだったと感じます。
お受験テクニック等で語られる「先に問題を解いて、分からないところを調べて自力で体系化するために参考書を使う」というのは標準装備とします。それまでの私の勉強は、同様に分からなかった問題や単語を一つ一つ調べていきますが、IT分野は調べるほど分からないことが芋づる式に増え、しかも同じ言葉が全く違うことを指してたり、違う言葉が同じものを指してたり。。。ということが本当に多いと未だに感じます。
加えて、勉強する範囲が広がるほど体系化が職人芸になり、人によって整理手法や分類観点・強調部分が異なります。職人たる人に教えを乞い、その人の周辺知識や経験を継承する形で会得する旧来の徒弟制度ならそれでも良いのですが、私は「シャリを握るまで10年」みたいな人生観ではなく、深さより広さを優先したい人間です。
「調べる・体系化する・記憶する・アウトプットする」を短いサイクルで回すことにおいて、生成AIは圧倒的でした。複数の問題を読み込ませ、「これらを分かりやすく体系化して」「要点を3行にまとめて」「サッカーに例えて」「教訓となる日本昔話っぽく説明して」「実際に起こり得る問題と対応策を教えて」「これと似た正誤問題を10個出題して」といったリクエストにかなり柔軟に対応してくれます。
本当に熟練の師に教わっているかのごとく、そして教え方が超うまい塾講師のように説明してくれるため勉強の面白さに引きずり込まれ、気づいたら朝になってて慌てて出社したこともありました。
(余談1) ヘリコプター操縦技術の「インストール」
出典:マトリックス
中二病を患っていた私の思想に大いに影響を与えた映画『マトリックス』の第1作目、ネオとトリニティがモーフィアスを救出に向かう中、敵から奪ったヘリコプターを操縦するために、トリニティが操縦技術を「インストール」するシーンがあります。
脳内で読み込むこと数秒、彼女はヘリコプターの操縦技術を習得し、ヘリで救出に向かうわけですが、このシーンが未だに私の脳に鮮明に刻まれている理由は、「覚える」作業を、個別のタスクをこなす最小限でパッケージ化して脳に格納し、必要に応じて参照しつつスキルに昇華するイメージとして作り上げるきっかけになったからです。
出典:葬送のフリーレン
最近だとフリーレンでも語られていますが、私たちはイメージの世界を生きており、イメージできると実現できる、実現できるとイメージできる、そんな風に世界を考えるようになってきました。
ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』を大学生の頃に読んだ際は「意識高いなあ」程度にしか思えませんでしたが、この思考に必要だったのは、目的を漠然とイメージすることで変わる心構えと行動で、その積み重ねが大小の成功体験を生み、徐々にイメージを構築するのだと感じます。所謂「引き寄せの法則」でしょうか。
(余談2)あなたも立派なサイボーグですよ
出典:PSYCO-PASS
アニメ『PSYCO-PASS』1期に登場する全身サイボーグの泉宮寺豊久は、インタビューの中でこんな風に述べていました。
(インタビューする女性):アンケート調査によると、全身の5割を超えるサイボーグ化には抵抗を感じると答えた方が大多数のようですが。
抵抗があるという人の気持ちは分かりますよ。結局は程度の問題なんですよ。例えばあなた。あなたも立派なサイボーグですよ。
(女性)しかし私は義手も義足も人工臓器も使ってません。
何らかの携帯情報端末を持っていますよね。
(女性)それはまあ、誰でも持っているのでは?
そして、家にはホームオートメーションとAIセクレタリー、それらのデータが災害や事故によって一気に失われたら、あなたはどうしますか?
(女性)それは、、、復旧するまで何もできません。
自分の生活をそこまで電子的な装置に委託しているのに、サイボーグではないと言っても説得力はありませんよ。あなたにとって携帯端末は既に第二の脳だ。違いますか?
科学の歴史は、人間の身体機能の拡張、つまり、人間機械化の歴史と言い換えても差し支えない。
出典:PSYCO-PASS 第1期 9話
私がこのアニメを見たのはもう5年くらい前だった思いますが、このシーンはよく覚えています。ファイナルファンタジーシリーズや攻殻機動隊、ベルセルク、アニミズム(精霊信仰)といった生命の輪郭を世界観のテーマにする作品や信仰・思想に強い関心を持つ私にとって、身体を人間の魂の入れ物と考え拡張可能とするこの考え方は何の抵抗もなく受け入れられました。
私がE資格を取得した2018年当時は生成AIなんてものはなくGANが賛美されていた時代。学習には脳だけではなく身体が必要で、身体が周囲の環境に働きかけて環境が変化する様を脳が学習する、だから学習には人型ロボットが必要だという「身体性」関連の議論も少なくなかったように記憶しています。
持たざる者の「学習」目的
生成AIは既にツールという枠を超えて第2の脳どころか第1の脳としての性能を持っており、「使いこなせるか否か」というより「使われるか否か」のように感じます。使いこなせない人の価値や生産性が停滞・低下するのは当然のこと、使いこなせている人も常に生成AIと対話・協業しながら付加価値を高めていく必要を感じます。
「付加価値を高める」とは何か。貧農出身で人の能力開発を考え続けてきた私にとって、それは経済的・社会的価値の向上・維持に他なりません。特に子供を育てる親として日々考える「将来の幸せ」とは、子供たちが将来大人になって、より高い労働所得・資本所得を得ることができ、社会のより高い層とのコネクションを拡大・維持していることです。これは私に限らず多くの親がそう考えているでしょうし、そのために必要な教育投資や学習機会に頭を悩ませていることと思います。
そりゃ自分自身の好奇心に従って自由気ままに生きてくれたら本望ですが、その自由を手に入れるために経済的・社会的優位性が必要なのです。そして、労働者階級として「持たざる者」である私は、持てる者の意思決定や事業運営・拡大を支援しつつ対価を獲得します。大きな対価を得るためには高い生産性が必要となり、そのためには大量のインプットと、直面する課題に合わせてそれを適切に再編成・体系化アウトプットする能力が必要でした。
そのために学習には価値があり、学習効果の高さは学歴を以て示され、それが付加価値の高い仕事へのアサインを決め、持たざる者も持てる者の意思決定に近づきつつ高給を得ることができる、というのが私の世界観でした。
「学習」の価値の低下
出典:松尾豊の弟子・今井翔太が語る「理系人材の終焉」で問われる能力
松尾豊先生の弟子を自称する方はじめ様々な方が生成AIの隆盛による必要人材の変化・淘汰を論じています。色んな言論に触れて自分でもあーだこーだ考える中で、私が強く感じるのは「学習」の価値の低下です。
出典:21世紀の資本をわかりやすく解説、「r > g」はお金持ちの原則だ
r>g、資本の成長率の方が賃金の上がり率より大きいということは、いち早く蓄財して不労所得を拡大した労働者から生産手段を労働から企業や資本へと転じることができ、少ない努力や負担で豊かさを享受できます。
こうした「努力して学習した人が経済的成功を収めて支配階層に加わる」のは、近代以前は中国の科挙官僚くらいしかありませんでした。近代以前は労働生産性より土地生産性の方が高く、より収量の多い土地を支配できた者が豊かになり、支配階層は今と比べてずっと固定的でした。こうした世界では「労働者」という階級は存在せず殆どが農民で、その中でも勉強して科挙に合格すれば3代先まで栄えると言われた通り、学習して得た社会的価値は今よりずっと固定的でした。
近代以降、特に産業革命により多くのニーズと消費が生まれ、労働者は学習によりビジネスチャンスをいかにでも広げるができるようになり、学習してスキルを獲得する「速度」、つまりいち早くキャッチアップして体系化・アウトプットできて様々な課題や変化に対応できることが良しとされました。私が経験した日本のお受験戦争も、未だこうした思想の中にあると思います。国語算数理科社会情報をいち早く記憶・体系化して問題を解く力が社会的地位を獲得するのに有効な時代です。そんな「速度」の戦いは、生成AIの登場で変わります。
生成AIの登場により、このトレンドは「速度」から「加速度」に変わっていくと考えます。速度とは、A地点からB地点までの距離を時間で割った概念であり、100メートルを10秒で走るか9秒で走るかという勝負です。世界中の人の学習速度、つまりスキル獲得速度を上回れば、常に高付加価値な地位を維持できます。従って幼少期の受験戦争を勝ち抜き、IT技術の発達や顧客起点への社会変化が起こってもビジネス施策を柔軟に変化させることができた賢い経営企画や賢いエンジニアの方々が常に社会で優位性を維持できました。
「加速度」とは「速度」を更に時間で割った概念であり、1秒間にどれだけ加速できたかの勝負です。「加速度」で生成AIが人類を上回ると、一定時間で賢くなる速度が人類を圧倒し、急速に賢くなる生成AIが急速に世界の労働を代替し、人間は変化のスピードに追い付けません。
例えば1時間かけて100学習できる速度の人は、2時間で200、3時間で300学習でき、世間一般が1時間で10の学習速度なら常に優位でいられます。一方、生成AIは学習を加速させることができ、1時間で10でも2時間で100、3時間で1000に至ります。人間も訓練次第である程度は加速できるかもしれませんが、生成AIのスピードには追い付けません。
そんな社会では、「生成AIの発達速度」が「個人が時間を投資してスキルを獲得する速度」を上回り、スキルの償還期間が短くなります。例えば、私がAWSを学習して様々な課題を解決できるようになる速度より生成AI が解決できるようになる速度が速いため、私はいずれ抜かれるし、抜かれるまでの短い時間にスキル研磨に必要な投資(お金と時間)を回収しなければスキル研磨がペイしなくなります。
こうして「学習」することの価値が低下し、労働者がちょっと頑張って学習したところで稼げず、「スキルがなくても生きていける程度の生活水準」で細々とした生活を志向する風潮が拡大するのでしょう。実際のところ、先進国で蔓延する無気力感はこういった類のものに近いのではないかと思っており、生成AI登場以前より始まっていた現象かもしれません。
(余談3)生成AIによる失職
私がここまで危機感を感じるのには理由があります。それは、私は現在の仕事でも生成AIの開発側におり、学習させることによってこれまで(自分含む)人がやってきた高度な情報整理・分析・判断が必要だった業務の自動化を進めていることになります。
私の業務負荷は各段に減りました。それはつまり、私の仕事を生成AIにだいぶ奪われたという言い方もできると思います。
記事の概要によると、ChatGPTや画像生成ツールといった生成AI技術に基づくサービスが、ギグワーク系オンラインの仕事に与える影響が調査されています。2021年から2023年にかけ、フリーランスの求人情報を100万件以上分析した結果、特にライティングやソフトウェア開発、グラフィックデザインといった職種の需要が減少していることが分かりました。主なポイントは以下の通りです。
- 求人数の減少:生成AIツールの導入後、AIで置き換えやすい仕事の求人が大幅に減少しました。ライティングは約30%、ソフトウェア開発は約20%、グラフィックデザインは約17%減少しています。
- 競争の激化:求人が減少したため、限られた仕事を巡る競争が激しくなり、応募数は約8%増加しています。これにより、仕事を得る難易度が上がっています。
- スキル要求の増加と賃金の上昇:AIで置き換えやすいポジションでは、必要なスキルの多様化・高度化が進み、賃金も約6%上昇しています。
- 生成AIスキルの需要増:同時に、ChatGPTなどの生成AI技術を活用できるスキルを求める求人が増加しており、特にソフトウェア開発やウェブ開発の分野で顕著です。
興味深いのは、昔の自動化(主にロボットによる)と現在の自動化(生成AIによる)との違いを示している点です。以前の自動化は主に製造業などの物理的な労働に影響を与えていましたが、生成AIは知的労働やクリエイティブな分野に直接影響を及ぼしています。これは自動化の新たなフェーズであり、その様相が変わってきていることを定量的に示したのは画期的です。
なんかこの記事、生成AIが書いた感じしますよね。。。笑 もはやネット記事は人が書くものではなくなったと思います。
次の時代を生きる子供たちの「学習」
努力して「学習」によって獲得したスキルがすぐに抜かれる、役立たなくなる、優位性を保つことができなくなる。そんな時代に生きる次世代の子供たちに、AWS全冠RTAする意味は見いだせないでしょう笑 とはいえ、これは私の結構根深い悩みで、親として自分の子供たちに何を渡すべきか日々模索しています。
分かりやすい解決策の一つは、スキルで稼ぐ階級、つまり労働者階級からの脱却。私が億万長者になって子供たちに大規模な資本を残せば、これを生産手段として子供たちは社会的・経済的優位性を維持できるでしょう。
あるいは、脳である生成AIが届かない物理的なハードの世界、と言ってもその辺もロボット技術の開発で無事に人間の仕事は奪われるでしょう笑
となると、やはり今私たちが生きている世界にはない生産手段や価値観を創造する、あるいはそういった領域で価値を生み出し生成AIに追い付かれる前に償還するか規制を作って優位性を維持できるような、そういう領域で勝負することだかなと思ったり。この辺は実は結構真剣に考えています。発想の飛躍が必要になるわけで、我々の社会の根底の概念を覆す必要があります。
例えば、実は地動説じゃなかったことの発見とか笑 時間・空間の克服、キマイラの医療転用、魂の物理化、集合無意識との接続などなど。もはや完全にSFですが、アイディアは尽きません。最近はそういうアイディアや発想・思想に触れるために、先人の作品や自伝や当時の社会情勢を調べる日々です。
渡米してくる子供たちに、明るい未来を用意する責任を果たすべく日々精進。